初心者のための脂肪吸引マニュアル
初心者のための脂肪吸引マニュアル
初心者のための脂肪吸引マニュアル
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ダイエットに限界を感じた時、すぐに瘦せたい時に頼りになる脂肪吸引。でも、リスクが気になるという方も多いのではないでしょうか。かつては死亡事故や後遺症が発生していましたが、技術が発達した現在では安全性や仕上がりの美しさなどがかなり改善されました。しかし、やはり外科手術ですから、リスクがゼロになることはありません。そこで今回は、脂肪吸引のリスクとして代表的な事例をご紹介します。
脂肪吸引と一口に言っても、様々な方法があります。手術方法によっては、傷跡や凹凸が残るリスクも念頭に置いておくべきでしょう。
脂肪吸引では「カニューレ」と呼ばれる医療用の細い金属管を使用することが多いですが、それを身体に差し込む際に傷跡が残りケロイド化するおそれがあります。患者さん本人の体調や体質、手術中の衛生管理によってはその傷口から細菌が入って感染症を引き起こすリスクも。ただし、このリスクは脂肪吸引特有のものではなく、外科手術全般に共通するものです。
もうひとつ、脂肪吸引によくあるのが「術後、皮膚の表面に凸凹が残った」というもの。医師の技術力不足、患者さん自身による術後の圧迫・マッサージ不足など様々な要因によって引き起こされます。せっかくスリムになったのに、表面がボコボコになったと落ち込む方もいるようです。
外見だけでなく、健康上のリスクもあります。脂肪吸引も昔に比べると安全性はかなり高くなりましたが、以下のような症状が起こる可能性はゼロではありません。それぞれ起こる理由と対応をまとめましたので、脂肪吸引を受ける際の参考にしてください。
脂肪吸引した箇所に血が溜まる症状を血腫と呼びます。基本的に血腫は、術後に弾性包帯やストッキング、ガードルなどで圧迫すればほとんど起こらないとのこと。しかしクリニックの指示に従わず圧迫を怠ったりすると、血腫ができるケースもあります。この場合、ドレーンチューブという管を使って溜まった血液を体外に排出して処置します。
手術中に周囲の神経が傷つくと、皮膚のしびれや違和感などの知覚異常が起こることがあります。ほとんどの場合は1ヵ月程度(まれに半年~1年)で改善することが多いようですが、治るまでは不便を感じることもあるでしょう。最近では、周辺組織を傷つけることなく脂肪細胞のみにアプローチできる脂肪吸引方法も開発されています。神経損傷が心配な方は、そちらを選択するのも一つの手です。
脂肪や血液の塊が血管を流れて、臓器中の細い血管に詰まることが稀にあります。一度に大量の脂肪を無理に吸引しようとした場合に起こりやすく、症状が重いと生死に関わる状態に。脂肪吸引による死亡の原因としてもっとも多いのが、この脂肪塞栓と血栓だと言われています。防ぐためには、医師の技術力が高く安全性に配慮された信頼できるクリニックを選ぶことが大切です。
あまりにも医師の腕が拙いと、腹部の脂肪を除去する際に、カニューレ(医療用の細い金属管)で腹膜を傷つけてしまうことがあります。2009年には東京都で脂肪吸引手術を受けた70代の女性が、カニューレによる腸の損傷で死亡する事故が発生しました。極めて稀なケースではありますが、心配な方は技術力に定評があるクリニックで手術を受けましょう。
麻酔による合併症として、アレルギー反応や血栓症などが起こることもあり得ます。合併症になると再発リスクや日常生活への負担など、デメリットも大きくなります。麻酔への拒否反応や衛生面に配慮しているかなど、施術前に調べておくことをおすすめします。
脂肪吸引によって、食欲抑制物質「レプチン」が十分に分泌されなくなるリスクも指摘されています。その結果、食欲を抑えることが難しくなり、せっかく脂肪吸引したにもかかわらずたくさん食べて脂肪を蓄えてしまうかもしれません。 これまでは脳が体全体をコントロールしていると考えられていましたが、実は臓器や組織同士でも特定の物質を介してコミュニケーションをとっていることが明らかになりました。
脂肪もそのひとつで、前述の食欲抑制物質「レプチン」を放出することで「満腹です」というメッセージを脳に送っています。まだ研究途中で明らかになっていない部分もありますが、脂肪吸引によって急激に脂肪が減少すると、これまで以上に食欲が増す可能性があります。
また、比較的新しい脂肪吸引法には思わぬリスクが隠れていることがあります。安全性が高くリバウンドしにくいと人気の脂肪吸引方法「フリーズファット」もそのひとつ。
この「フリーズファット」は脂肪組織を凍らせてから除去する方法で近年人気急上昇中ですが、アメリカの研究者らが行った研究によると約138人のうち1人に「奇異性脂肪過形成(paradoxical adipose hyperplasia)」が生じていたということが明らかになっています。
「奇異性脂肪過形成」とは、脂肪が塊になる症状。痛みはないものの、皮膚の表面に脂肪の塊がボコッと浮き出てしまいます。この塊を取り除くためには、さらに手術を行わなければなりません。発生率は0.72%と極めて低いですが、まったく無視することはできないデータです。
しかも、塊が柔らかくなってから除去しないと、再発する可能性があるという報告も挙がっています。柔らかくなるまで数ヵ月かかるとされており、美意識が高い人にとってはかなりのリスクです。
脂肪吸引を受けられる患者さんのほとんどは、「今よりも美しくなること」を目的とされています。美容目的の手術で体に傷が残るリスクは、なんとしても避けたいでしょう。
ポイントは、脂肪吸引の中でも体に傷が残りにくい方法を選ぶこと、そして評判が良く腕の良い医師を探すことです。脂肪吸引の見た目の仕上がりは、手術方法の種類だけでなく、医師個人の技術力によるところも大きいです。
他の美容外科手術よりも違いがわかりにくい脂肪吸引は、若手の美容外科医が「手術に慣れる」のために行うことも多いと言われています。口コミなどを徹底的に調べて、なるべく実績があり信頼できる医師にお願いしましょう。